言葉の納戸―突き刺さる箴言⑤

人間も本当に下等になると、ついに他人の不幸や失敗を喜ぶ以外の関心をなくしてしまう。

(ゲーテ*)

 かつて大きな? カルト宗教団体が多くの世俗的犯罪で罰せられた後、その残党が行き場を失い、その隠れ家が公にされてしまったことがあった。そして、地域住民がそれを排除しようと躍起になっている姿をテレビ画面が映し出していたのだが、その中に、ここぞとばかりに鬼の首を取ったように猛烈な抗議をしている男たちがいた。彼らの顔が何故か真っ赤な顔をしながらニヤケているのである。ひょっとするとお前らが一番排除されなければいけないのではと、画面の前でふと呟いてしまった自分がいた。自分たちより立場が弱い(すでに、他者に対して言葉を失ってしまった)と察した時にだけ強圧的態度に出る癖の悪い下等な輩が、この世にはウヨウヨと生存しているのである。

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)

1749年8月28日 – 1832年3月22日、ドイツの詩人、劇作家、小説家、自然科学者、博学者(色彩論、形態学、生物学、地質学、自然哲学、汎神論)、政治家、法律家。ドイツを代表する文豪であり、小説『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』、叙事詩『ヘルマンとドロテーア』、詩劇『ファウスト』など。

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