「言葉の納戸」カテゴリーアーカイブ

言葉の納戸―突き刺さる箴言③

「人の心を本当に動かすには、その人から滲み出る行いと言葉しかない、知識だけでは人は共感を感じない」

(宮沢賢治*)

「ひとは論理自体に動かされることはない、ただ未知の領域にあくなき論理によって肉迫しようという思想に動かされる」

(吉本隆明*)

「もっとも個性的であることによってもっとも普遍的なものを蔵する思想こそ学ぶに値する思想である」                            

(丸山眞男*)

 「人の心を本当に動かすのは、知識や論理ではない。未知の領域にあくなき論理で肉迫し、個性的(その人から滲み出る行いと言葉)であることと同時に、もっとも普遍的な当たり前な論理(言葉)に人は動かされる(共感する)のである。」

 日本の思想界に多大なる影響を与えた詩人と思想家による、言葉(論理)と思想についての箴言である。三者の箴言とも通底する核となるものは同じであり、勝手に先人の箴言をコラージュさせていただいた。人が<ほんとう>に動かされ、共感する<言葉(思想)>とは、どう発揚されるのか、その答えが、これらの箴言に現れているように思えてならないのである。

宮澤賢治(みやざわ けんじ)-明治29(1896)年8月27日 – 昭和8(1933)年9月21日、岩手県生まれ。日本の詩人、童話作家。作品に『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』『ポラーノの広場』『グスコーブドリの伝記』他多数

吉本隆明(よしもと たかあき)-大正13(1924)年11月25日 – 平成24(2012)年3月16日、東京生まれ。日本の詩人、思想家。作品に『言語にとって美とはなにかⅠ・Ⅱ』(勁草書房, 1965年)、のち角川文庫、角川ソフィア文庫『共同幻想論』(河出書房新社, 1968年、改訂版・角川文庫 1982年)『心的現象論序説』(北洋社, 1971年)『戦後詩史論』(大和書房, 1978年9月)他多数

丸山眞男(まるやま まさお)-大正3年(1914)年3月22日 – 平成8(1996)年8月15)、大阪府生まれ。日本の政治学者、思想史家、東京大学名誉教授。作品に『日本政治思想史研究』(東京大学出版会、1952年、改訂版1983年)『現代政治の思想と行動』(未來社 〈上・下〉 1956-57年、増補版 全1巻、1964年、新装版2006年)『日本の思想』(岩波新書 青版、1961年、改版2018年)『超国家主義の論理と心理 他八篇』(古矢旬編・注、岩波文庫、2015年)他多数